レトルトカレーとともに安心できる“正しい情報”も食卓に届ける

日々、食品を提供するメーカーとして、「レトルト食品に保存料は入っていない」と説明すると、大半の方が驚きます。これは、「保存料が使われているはず」というイメージを、多くの生活者が持っている裏返しでしょう。大塚食品で長らくボンカレーのマーケティングを担当してきた垣内壮平は、「保存料、合成着色料不使用」と商品パッケージに明記することで、そうした誤解を解きたいと考えました。

 

“レトルト殺菌”するから保存料は必要ない

—ボンカレーは商品パッケージに「保存料、合成着色料不使用」と明記されています。

brand02-04垣内:ボンカレーはどの商品も保存料不使用です。着色料も、合成着色料は使っていません。

 

—保存料を使わずに常温で長期間保存できることを、不思議に感じる人もいるのではないでしょうか。

垣内:ボンカレーはパウチ包装にカレーを密封してから加熱殺菌しますので、保存料を使わなくても中身が傷むことはありません。この方法は、基本的に缶詰と同じものです。

ただし、缶と違ってパウチ包装の場合は、そのまま加熱すると中身が膨張して破裂してしまいます。ですから、外からも圧力をかけて袋が膨らまないようにしながら加熱します。これがレトルト殺菌。加圧加熱殺菌とも言いますね。

 

—コンビニやスーパーなどの店頭では、同じような形状のパウチ包装の食品で要冷蔵のものも見かけますが。

垣内:それは、ボンカレーと見た目が同様のパウチ包装を使っていても、レトルト殺菌をしていない食品です。

食品の保存性をよくするには、様々な手段が存在します。冷蔵や冷凍のように、食品の温度を低くすると細菌の増殖が遅くなりますから、それによって日持ちをよくする方法もあります。パウチ包装でも要冷蔵という商品は、その手法を採っているわけです。

また、昔からある手段として、例えば水分活性を下げるという方法があります。干物のように水分自体を減らすのもその一つですが、塩漬けや砂糖漬けのようにすると、水分があってもその水分を細菌が利用しにくくなり、細菌が増殖しにくい状態になるため日持ちがよくなります。

もちろん、食品添加物を使って、細菌の増殖は抑えられます。保存料がその一つです。pH調整剤といって、食品の性質を酸性に傾けて菌の繁殖を抑える方法もあります。

ボンカレーの場合は、それらとは違ってレトルト殺菌を行うことによって、通常の非冷蔵貯蔵・流通条件下で、すべての微生物を死滅させた状態にしています。ですから、冷蔵・冷凍する必要はありません。微生物を死滅させた状態なので、その働きを抑えるために保存料などを使う必要がないのです。

brand02-03

 

「レトルトは保存料を使っている」という思い込み

—高い圧力をかけて高温で加熱すると、カレーがおいしくなくなってしまうことはありませんか。

垣内:カレーはもともと煮込み料理ですから、加熱によって極端においしくなくなるといったことはないですね。ただ、長時間高温で加熱することによって損なわれてしまう風味もあります。そこで私たちは、材料の形状、大きさ、調理工程を工夫して、ベストな味になるように長年研究を重ねています。

具体的には、スパイスを加えるタイミングを調理の最後の方にすると、スパイスの風味が活きます。さらに、風味を強調したいスパイスは、粗挽きにするといった方法もあるでしょう。特にこの工程にこだわっている商品「Theボンカレー」では、粗挽きのスパイスを使い、カレーソースが出来上がる最終工程で加えるようにしています。

 

—それにしても、やはり「日持ちのする食品=保存料を使っている食品」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。

垣内:日本缶詰びん詰レトルト食品協会が行った「レトルト食品に関する調査2014」でも、レトルト食品のイメージとして、「添加物が多く含まれている」と答えた人が36.0%に達しています。

また、レトルト食品を提供する私たちも、商品開発などのために生活者の皆さんからご意見をうかがう機会をしばしば持っており、そこに来ていただく方が「レトルトカレーは保存料を使っている食品だ」と思い込んでいるケースはよくあります。

そんなときはもちろん、ボンカレーでも他社の商品でも、レトルトカレーの製造手順を紹介し、保存料は使っていないと説明します。すると、ほとんどの方が、「えぇー!!」ととても驚かれ、逆にこちらがびっくりしてしまうわけです。

 

提供者として“正しい情報”を積極的に発信する

—なぜ、そうしたイメージを持つ人が多くなってしまったのでしょう。

垣内:これは私たちメーカーにも責任があると感じています。と言うのは、発売から現在まで主に訴求してきたことは、常温保存で手軽に用意できて「便利」ということや、「おいしい」ということでした。

それに対して、「保存料を使っていない」という事実が、生活者の方々にとって重要な情報だと気づくようになったのは最近のことです。今までなぜ私たちが重きを置いてこなかったかと言うと、私たちの中では「レトルト食品で保存料を使わないのは当たり前だ」と考えていたためです。

実は、パッケージに「保存料、合成着色料不使用」と表示することになったときも、「当たり前のことを、わざわざ書かなくても…」という意見もありました。けれども、実際に生活者のみなさんに伝わっていなかったり、ご存じないのであれば、メーカーとして“正しい情報”を発信すべきだと考え直したわけです。

 

—「保存料、合成着色料不使用」を伝えることで、どんな変化があるでしょうか。

垣内:先ほど、生活者の方に保存料を使っていないと伝えると驚かれるとお話ししましたが、次に来るのは、「だったら、もっと使っていればよかった」という声ですね。

例えば、子育て中のお母さんが、いつも頑張って食事を用意しているけれど、今日は本当に疲れて何もしたくないとか、時間がないとか、でも子どもがお腹を空かせていて何とかしなくちゃという場合、私たちは「ボンカレーがあって助かった」と感じていただけると思っています。

ところが、そのときに「でも、ラクをするために保存料入りのものを食べてしまった。子どもに食べさせてしまった」というマイナスの印象が残ることは、その人のためにならないし、悲しいことではないでしょうか。

保存料は適正に使えば害がないという認識も大切ですが、実際に保存料不使用なのであれば、その事実を知るだけで安心できます。何かを心配したり、罪悪感のような気持ちを持たずにお腹も心も満たされたら、ボンカレーを提供する私たちにとっても、これ以上の喜びはありません。

 

関連記事

なぜ「レトルト食品には保存料が入っている」と勘違いしてしまうのか?

誕生から間もなく半世紀。今も進化を続けるボンカレー

“医療技術”によって世界初のレトルトカレーが誕生した?

最年長レトルトカレーとして“生活者の助けになる”を追求する

【こんなところにボンカレー#1】女優・松山容子さんのホーロー看板は「昭和」の代名詞?

【こんなところにボンカレー#2】長野の高校生は「ボンカレー広場」で大活躍?

【こんなところにボンカレー#3】宮崎県でボンカレーの「おいしさ三重丸」が大量発生中?

デザイン類似という偶然から生まれた「ひなたの恵みボンカレー キーマ辛口」

「また食べたい」と思える“家庭の味”をボンカレーで追求したい