最年長レトルトカレーとして“生活者の助けになる”を追求する

1968年の登場時には「世界初のレトルトカレー」だった「ボンカレー」。今ではレトルトカレーは身近な存在となり、何百種類も売られるまでになっています。何百分の一の商品となった現在、「ボンカレー」はどのようなレトルトカレーになろうとしているのでしょうか。大塚食品でマーケティングを担当する垣内壮平に、“レトルトカレー群雄割拠時代”に秘めた思いを語ってもらいました。

 

特許で技術を囲い込まず市場拡大を促す

brand02-01―「ボンカレー」は具材にもこだわりがあって、例えば中に入っている肉は牛肉だけですね。

垣内:「ボンカレー」は発売当初から牛肉100%にこだわっています。それは、ただ便利だというだけでなく、おいしいもの、ごちそうとしてもご利用いただきたいと考えているためです。

 

―ごちそうと言えば、その後「ボンカレーゴールド」を発売しました。これはどういう狙いだったのでしょうか。

垣内:「ボンカレーゴールド」は、最初の「ボンカレー」発売から10年後の1978年の発売です。お客様がいろいろな食を経験した時代になって、市場の変化に合わせ“現代的な”カレーを目指したものと言えると思います。もともと「ボンカレー」は食堂や給食でもおなじみの黄色っぽいカレーでした。これに対して、「ボンカレーゴールド」は専門店風の味わいで色味も茶色いタイプです。

 

―今ではライバル商品もたくさんあって、「ボンカレー」にとってうれしくない時代なのではありませんか。

垣内:そんなことはありません。大塚食品は自社で開発したレトルト食品の技術を特許などで縛る方針を採りませんでした。最初の発売からだいたい3年後ぐらいから競合商品が出てきましたが、自社だけで独占しようとするよりも、現在のように市場が拡大してよかったと感じています。

今では市場に何百種類も、ご当地ものやレストランのオリジナル商品を含めて、さまざまな味と価格のレトルトカレーが販売されています。その中で、それぞれが特徴を出していけばよいのではないでしょうか。

brand02-02

 

「ボンカレー」が地道に続ける二つの努力

―そうした“群雄割拠時代”の中、「ボンカレー」として市場におけるどのようなニーズに応えていきたいのでしょう。

垣内:最も意識しているのは、“生活者の助けになる商品”ということです。

現代の生活者は仕事に家事にと、かつてと比べてとても忙しくなっているのではないでしょうか。それでありながら、食事は常に手作りでなければいけないと考える余り、さらに忙しくなって家族の団らんの時間さえ削られてしまうような場合さえあります。

そうした状況に対して、本当に忙しいときは「ボンカレー」で手早く食事の準備し、余った時間を家族同士のコミュニケーションに当てるといった利用ができます。こんな使い方により適した商品にするために、さまざまな努力を続けています。

 

―その努力とは、具体的にどのようなものでしょう。

垣内:大きくは二つあります。一つは、「電子レンジ対応」です。最初に電子レンジ対応した商品を発売したのは2000年。金属を使わず、しかも遮光性と空気を透過しない材質で、電子レンジ加熱で中身が膨張すると自然に蒸気が抜ける構造のパッケージによって実現し、これは2009年に発売した「ボンカレーネオ」に引き継がれています。

その後、構造をシンプル化した新しい電子レンジ対応パッケージを「ボンカレーゴールド」にも採用し、2013年以降は全国発売するすべての「ボンカレー」を電子レンジ対応に変更しました。現在は、レトロパッケージを採用した沖縄限定品を除き、どの「ボンカレー」も電子レンジで温めていただけます。

brand02-03

 

―なぜ電子レンジ対応にする必要があったのでしょうか。

垣内:湯煎と電子レンジ加熱との違いを調査してみると、電子レンジ加熱ではお湯を沸かす時間が不要なため6分の時短になるという結果が出ています。

6分という時間は、物理的には余り違いがないと感じるかもしれません。しかし、お湯の準備が不要という特徴は、気持ちの上で助かるという面が大きいのではないでしょうか。また、お湯よりも火傷のリスクを減らせるというメリットもあります。

生活を便利で楽しくするというのは、「ボンカレー」開発の端緒からあった狙いです。ですから、いつまでも湯煎にこだわるべきではなく、ほとんどすべての世帯に電子レンジがある時代ですから、当然電子レンジで温められるようにするべきだと考えたのです。

 

―もう一つの努力とは何でしょうか。

brand02-04垣内:中身をよくし、そのよさを知っていただくことです。まず、中身をよくするというのは、味をおいしくするということももちろんですが、情報も大切です。

レトルトカレーは、“即席”ということで、とかくネガティブなイメージを抱かれがちです。「ボンカレー」は家事の手抜きではなく、おいしく、よいものを食べる方法だと理解していただきたいのです。

 

―生活者としては、「安全・安心なものを選びたい」というニーズも重要ですね。

垣内:その通りです。「ボンカレー」は、レトルト時に殺菌し、包材が品質を保つため保存料や殺菌剤を使っていません。このことをお客様に説明すると、「知らなかった」「そうと知っていたら、もっと使うんだった」と言われることがしばしばあります。

私たちからすれば当たり前と思っていたことでも、お客様にとってはもっと知りたい情報だったわけです。ですから、適切な情報発信で、お客様の「何か入っているのでは?」といった不安や罪悪感を取り除いていくことは重要だと考えています。

 

半世紀の歴史を経て変わること、変わらないこと

―これからの「ボンカレー」はどのように進歩していくのでしょう。

垣内:毎年2月12日の「ボンカレーの日」「レトルトカレーの日」に、これからの「ボンカレー」の道筋を示すような新しい商品や情報を発信しています。

theboncurry2015年は、プレミアム商品「The ボンカレー」を発売しました。厳選した食材を使い、手間暇をかけて下ごしらえし、レストランでカレーを作るときと同じように香味野菜などを炒めた後にソースを煮込む“二段仕込み”で作っています。レトルトカレーで感じづらい手作り感を意識しました。

2016年は、「ボンカレーゴールド」の具材のじゃがいも、たまねぎ、にんじんを国産に切り替えました。すでに「ボンカレーネオ」「Theボンカレー」などの具材に国産野菜を使用していましたが、これを広げました。また、「こどものためのボンカレー」も発売しました。これは、保存料、着色料、香料、化学調味料を不使用。10種類の国産野菜を使い、カルシウムも強化しています。

今後も、“生活者の助けになる商品”として進化させていくつもりでが、「便利さに加えて、味のよさ、そして安全・安心」という軸は、これまでも、これからもずっと変わりません。

 

関連記事

誕生から間もなく半世紀。今も進化を続けるボンカレー

“医療技術”によって世界初のレトルトカレーが誕生した?